アフリカ・セネガルで7年間にわたり未電化地域のインフラ構築を手がけてきた株式会社シュークルキューブジャポンが、商船三井、ダイキン工業、大日本印刷、セイコーエプソンの4社と連携し、セネガルの農産物を太陽光で”冷やし・加工し・世界へ届ける”、新しい官民連携ビジネスモデルの実証を開始します。この挑戦は、経済産業省の「令和5年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」にも採択され、セネガル政府との強固な連携のもとで推進されます。一社のスタートアップが築いた現地での信頼が、日本の大手企業の技術を引き寄せ、国家を動かした。これは、アフリカの未来を拓く、新しい共創のロールモデルです。
セネガルのマンゴーは、オーガニックで驚くほど美味しい。しかし、その多くは「冷やす」手段がないために、市場に届くことなく価値を失っていました。マンゴーに限らず、農産物全体では年間数十万トンもの収穫後損失(ポストハーベストロス)が発生しています。この深刻な課題を前に、私たちは日本の産業界と共創し、その解決に向けて本プロジェクトを立ち上げました。

図:太陽光電源による冷蔵倉庫・食品加工・デジタルKIOSKのイメージ

図:マンゴーの加工と輸出された先の国での販売のイメージ
私たちシュークルキューブジャポンは、2018年の設立以来、セネガルに深く根を張り、現地の課題と向き合い続けてきました。未電化の診療所に太陽光発電とLED照明「TUMIQUI Smart Kit」を届け、夜間出産の安全を守る。学校に完全オフグリッド型のデータセンターを設置し、子どもたちの教育の可能性を拓く。地道な活動を通じて、私たちは複数の自治体、そして政府との間に、お金では買えない「信頼」という名の資産を築き上げてきたのです。
この7年間の実績と信頼があったからこそ、今回の異例の連携体制が生まれました。

図:上に日本側、下にセネガル側、さらにセネガル側には子会社による省庁と自治体との連携がある
この連携体制は、単に日本からの支援を届けるという従来型のスキームではなく、現地政府、日本の民間企業、そして地域自治体がそれぞれの役割を持ち寄り、「共通の目的」を掲げて連携することで成立しました。
信頼・技術・政策ニーズが結びついたこの三層構造の協力体制は、収益性と社会性を両立する「自立型ビジネスモデル」として機能することを前提としており、従来のODA支援とは一線を画します。これは、「支援」から「共創」、さらに「産業化」へと進化したモデルであり、アフリカにおける持続可能な開発の新しい形を示すものです。
この壮大な挑戦は、各分野のプロフェッショナルが、それぞれの最高の技術を持ち寄ることで初めて実現します。
国際海運および物流のエキスパートであり、社会貢献活動の一環として本プロジェクトの実証実験を支援。アフリカのフードロス削減、持続可能なコールドチェーン構築を後押しします。
高精度かつ省電力のプリンティング技術を活かし、デジタルKIOSK端末へ同社のプリンターを配置し地域住民が利用できる行政書類の発行や証明写真の印刷など、生活に密着したプリントサービスを提供することで、地域サービス機能の拡張と収益化を目指します。
空調・冷凍冷蔵機器のグローバルリーダーであり、本プロジェクトでは同社冷蔵コンテナを導入。セネガルの気候環境下でも安定的に食品を冷却できる技術により、アフリカでのフードロス削減を目指します。
機能性フィルム分野や物流分野で培った高度な技術力・ノウハウを活かし、冷蔵ユニットに使用する高性能真空断熱パネルで連携。これにより、高いエネルギー効率と衛生性を担保した、高品質で持続可能なコールドチェーン構築を後押ししています。
本プロジェクトは、セネガル国内のみならず、日本からも大きな期待を寄せられています。
セリーニュ・ゲイ・ジョップ(セネガル 産業・通商大臣) 「シュークルキューブ(と現地法人TUMIQUI JAPON)は、教育分野においてセネガルで継続的に実績を積み重ねてきたことを、私はよく知っています。このプロジェクトは、そうした信頼と経験に基づく素晴らしい新しい挑戦です。将来的には、国として重要視する農産物の保管課題──たとえば数十万トン規模の収穫物の保管──にも、日本の技術とパートナーシップで取り組んでもらえることを大いに期待しています」
渋澤 健 氏(シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役) 「日本から”遠い”アフリカ、そして日本企業の進出が比較的少ないフランス語圏・セネガルにおいて、社会課題の解決を目指すこの挑戦は、複数の日本の大手企業との連携によって”Made With Japan”の価値を現地の人々に強く印象付けるはずです。アフリカに新たな道を切り拓く先駆者として、今後のさらなる発展を心より期待しています」
画像上:左から代表の佐藤弘一、セリーニュ・ゲイ・ジョップ産業・通商大臣とシュークルキューブ・セネガル法人ツミキのメンバー
画像上:渋澤健氏(左)と代表の佐藤弘一
アフリカ事業一筋で7年。未電化の診療所に明かりを灯し、学校に通信を届ける中で、「支援だけでは未来は続かない。人々の暮らしを支えるには、利益を生み雇用を支えるビジネスが欠かせない」と実感。そんな課題意識を抱えていたとき、セネガルの仲間が「ムッシューさとう、マンゴーだよ」と笑って言った言葉が転機となりました。
現地での電力・通信インフラ整備で培った技術力と政府との信頼関係を基盤に「Made in Senegal with Japan」でアフリカと日本の新しい未来づくりに挑戦しています。それが私の使命です。
この統合型モデルが生み出すのは単なる設備ではなく、国の構造を変えるインフラとなり得ます。
私たちは、2030年までに西アフリカ域内への横展開を進め、この共創モデルを、日本とセネガル間の新しい外交・経済モデルとして世界に発信します。
この挑戦が、日本のスタートアップと大手企業が連携し、アフリカで事業を展開する新しいモデルケースとなることを、私たちは確信しています。今後の展開に、どうぞご期待ください。
本プロジェクトは、単なる技術導入や支援にとどまらず、現地での保存・食品加工・輸出を通じて持続可能な雇用と利益を生み出す、経済自立型モデルの構築を目指すものです。将来的にはセネガルにおいてHACCP等の品質認証を取得し、日本や欧州市場への輸出も本格化させることで、アフリカから世界市場へとつながる農産業バリューチェーンを構築し、現地農家の所得向上、若年層の雇用創出、女性の就労支援など、多面的な社会的インパクトの実現を目指してまいります。
このセネガルでの取り組みを、今後のアフリカ、ひいてはグローバルサウスにおける事業展開のロールモデルとして、さらに多くの共創事業を創出して参りたいと存じます。
本プロジェクトの趣旨にご賛同いただき、新たな価値創造にご関心をお持ちの企業・団体の皆様からのご連絡を、心よりお待ち申し上げております。詳細につきましては、下記ページよりお問い合わせください。