私たちシュークルキューブジャポンは、これまでに培った仏語圏でのICT施工経験と国際ビジネスの知見を活かし、2018年よりアフリカ・セネガルを舞台に「TUMIQUI Project(ツミキ・プロジェクト)」を本格始動しました。TUMIQUIとは、単なるインフラ導入ではなく、「電気と通信を通じて命と未来を支える」ことを使命とした共創型の社会インフラプロジェクトです。
TUMIQUI Projectとは、単なるインフラ導入ではなく、「電気と通信を通じて命と未来を支える」ことをビジョンとミッションとした共創型の社会インフラプロジェクトです。
未電化の診療所に明かりを灯し、地方の学校に通信を届け、さらには、農業・金融・流通へと広がるインフラモデルとして、セネガルの現場で着実に展開を重ねてきました。
本ページでは、私たちがなぜアフリカに挑むのか、
どのような現実を見て、どのような哲学を持ち、そしてどのような未来を目指しているのかを、11章構成で丁寧にご紹介いたします。
私たちがTUMIQUI Projectを通じて取り組むアフリカには、今もなお約6億人の人々が電気のない暮らしをしています。
そしてこの数は、2050年になっても約4.5億人を下回ることはないとさえ予測されています。
その背景には、アフリカの国土が日本の80倍以上という広大さにもかかわらず、既存の系統電源が都市部にしか張り巡らされておらず、地方・農村部が著しく未電化のまま取り残されている現実があります。
加えて、インターネットの普及にも地域差が大きく見られます。
4G・5G・光回線などの高速通信は、都市部では90%近くのエリアをカバーしている一方で、地方部ではわずか20%程度の普及にとどまっているとされ、教育・医療・行政・経済などあらゆる面で情報格差が深刻化しています
しかし、こうした課題とは対照的に、アフリカは大きな躍動と成長の兆しを秘めた大陸でもあります。
新型コロナの影響で一時的に経済が停滞した時期もありましたが、国際支援の拡大と、何より平均年齢20代という若く力強い人口構造によって、アフリカ全体で再び力強い経済成長が始まっています。
とりわけ私たちが活動を展開する西アフリカ諸国(ECOWAS圏)では、年6〜7%という高い成長率が続いており、GDP統計に現れないインフォーマルセクター(非公式経済活動)を含めると、その経済規模はさらに大きいとされています。しかし、こうした課題とは対照的に、アフリカは大きな躍動と成長の兆しを秘めた大陸でもあります。
実際に現地を歩けば、ダカールをはじめとする各都市で次々と建築が進み、道路、商業施設、住宅開発が急速に進展していることが実感できます。インフラ格差の解消と若年層の活用が実現すれば、この地は間違いなく次のグローバル・イノベーションの中心地となるポテンシャルを持っています。
⸻
このように、アフリカには確かに「電気も通信も届いていない」課題があります。
しかし、同時に「未来をつくる熱量と条件」が揃っている場所でもあるのです。
私たちはこの可能性に向き合い、技術と共感をもって課題を希望に変える道を、TUMIQUI Projectで切り拓いていきます。
私たちがTUMIQUI Projectを推進するにあたって、最初に考えたのは「どこで、どう始めるべきか」という戦略的な問いでした。
再生可能エネルギーやICTインフラを導入するには、単に課題が存在するというだけでなく、継続的な事業展開が可能な経済・制度環境があることが欠かせません。
その中で私たちが選んだのが、西アフリカのフランス語圏地域です。
この選択には、複数の強固な理由があります。
まず第一に、この地域は共通通貨「CFAフラン」を使用しており、ユーロとの固定レートにより通貨価値が安定しています。しかもその安定性は、フランス政府の保障によって裏付けられているという点が極めてユニークであり、アフリカの中で最も為替リスクの低い通貨圏と言えます。
第二に、西アフリカ15ヵ国が加盟するECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)が存在することです。
ECOWAS圏内では、人やモノの移動が比較的自由であり、複数国にまたがる越境ビジネスの展開がしやすい環境が整っています。
これは、日本企業がサプライチェーンや流通ネットワークを構築する上で大きな利点となります。
第三に、この地域がフランス語を共通語とし、文化的にもまとまりがあるという点も大きな要因です。
日本国内ではあまり知られていませんが、仏語圏アフリカは旧宗主国であるフランスとの繋がりが今も深く、教育制度・法制度・行政プロトコルなどにも共通点が多く、言語だけでなく制度的な親和性があります。
フランスでのICT施工経験を持つ私たちにとって、このエリアはまさに知見と技術が活かせるフィールドだったのです。
加えて、東アフリカなどと比較して中国やインドなどの他国企業の進出が控えめであり、英語圏でないという特性からも、過度な競争にさらされることなく、日本企業がリーダーシップを発揮しやすい市場環境が残されています。
現地での実感としても、仏語圏西アフリカは「競合が少なく、歓迎されやすい」空気があります。
他の新興市場とは異なる“入りやすさ”と“続けやすさ”の両方があることは、現地のステークホルダーとの関係構築や、政策連携の観点でも極めて重要です。
⸻
つまり、TUMIQUIが選んだこの地域は、単なる「社会課題の多い地域」ではなく、
国際ビジネスにとっての戦略的な優位性を持つ、極めて有望な成長圏なのです。
私たちはこの地で、技術と信頼を積み重ねながら、インフラを未来の資産へと変えていきます
私たちTUMIQUIが、アフリカの数ある国の中から最初の事業拠点として選んだのは、セネガル共和国です。
それは偶然ではありません。明確な判断基準と、現地の肌感覚に裏付けられた「確信のある選択」でした。
アフリカ大陸は非常に多様な文化、宗教、言語、経済状況、そして政治体制を持つ地域ですが、ことビジネスを行う上で最も重要なのは、国家としての安定性です。
どれだけ魅力的な市場があっても、一度クーデターが起きれば、全ての事業活動は中断を余儀なくされます。法制度が整備されていなければ、契約や投資の保護もままならず、サプライチェーンや現地雇用の持続性も脅かされます。
その点、セネガルは、アフリカにおける数少ない「持続的な安定」を実現している国のひとつです。
これまで政権交代は全て平和裏に行われ、長期的に見ても治安が良く、政官民の信頼関係も比較的強固。フランスとの外交関係をはじめ、日本や他の民主国家とも友好な関係を築いており、極めて透明性の高い投資環境が整っています。
さらに、セネガル政府は「国家開発戦略(Senegal 2050)」を掲げ、再生可能エネルギー、教育、医療、デジタル化、農業バリューチェーンの強化などに注力しており、我々TUMIQUIのアプローチと完全に一致する分野が多くあります。
特に注目すべきは、地方自治体レベルでの意志の強さです。私たちが最初の実証フィールドとして選んだサンジャラ市は、経済特区の一角に位置し、教育・医療・産業振興に強い意欲を持つ自治体です。市長・議会・住民が一体となって、外部パートナーを歓迎し、支援を惜しまない土壌がありました。
こうした環境は、日本のスタートアップにとって極めて貴重です。
小さな組織であっても、現地の行政・中央政府と密な関係性を築けるからこそ、政策と連動した「スモールスタート」が可能となり、やがてそれは、国家レベルのスケールアップへとつながっていきます。
⸻
セネガルは、私たちの活動の入り口であると同時に、共に未来を創るパートナーです。
この国で築いた信頼は、やがて西アフリカ全域、そして他の仏語圏アフリカ諸国へと波及していくと私たちは確信しています。
私たちTUMIQUIが目指しているのは、単なるハードウェアの導入ではありません。
もっと深く、もっと本質的な、「社会の構造そのものを再設計する共創」です。
これをわかりやすく示すために、私たちは「TUMIQUI哲学ピラミッド」という独自の概念モデルを描きました。
このピラミッドの頂点にあるのは、「アフリカ諸国の持続的発展」です。
これは、援助に頼らず、自らの手で教育を受け、働き、暮らしを支え、次の世代を育てていく力を持つ地域社会を育てることを意味します。
しかしその理想を実現するには、途中にいくつもの階層が必要です。
その一段一段が、「医療」「教育」「行政」「経済」「情報流通」といった社会基盤です。
そして、それらすべての土台にあるのが、「電気」と「通信」なのです。
電気がなければ、医療機器は動きません。
通信がなければ、遠隔教育も、農業市場価格の把握もできません。
デジタルデバイドが放置されれば、行政手続きも金融サービスも届かず、地方はいつまで経っても中央から取り残されたままです。
この「TUMIQUI哲学ピラミッド」はセネガル政府そして未電化村落の病院や住人の方々と会話をする中でその培われた考え方で、だからこそ、私たちは電気と通信をセットで届けることにこだわり、しかもそれを現地の状況と文化に合ったかたちで提供するというアプローチを取っています。
このピラミッドの発想は、単なる理論ではなく、現地の方々との対話の中から生まれたものです。
私たちは現場に足を運び、電気がない診療所、真っ暗な教室、圏外の村を見てきました。
そこで暮らす人々と、どんな暮らしを望むのか、何が必要なのか、どこから始められるのか──。
その一つひとつを積み重ねた結果が、この哲学のかたちになったのです。
この考え方に共感し、実際に手を取り合ってくれているのが、セネガルの保健省や教育省、
そして私たちが最初に協業を始めた地方自治体の方々です。
⸻
社会課題を“見える化”し、それに応える“手段”として技術を活かし、
そしてそこに「共に成長し、共に所有する未来」を見据える。
TUMIQUIが描く世界観は、業界や制度、国境の垣根を越え、アフリカと日本が共創する新しい社会モデルへの挑戦です。
2019年、私たちはJICAが主催するSDGs課題視察ツアーの一環として、アフリカのウガンダとセネガルを訪れました。
このツアーは、支援や投資を検討する立場ではなく、現地の「課題の現場」を直視し、その本質に触れることを目的としたものでした。
そこで私たちは、忘れがたい衝撃の光景に出会います。
日が暮れ、照明ひとつない診療所の中で、ひとりの医師が懐中電灯を口にくわえながら、出産に臨んでいたのです。電気がなければ、医療機器は動きません。
診療記録を残すノートすら、暗闇のなかで書くことができません。
そしてその“当たり前のような不便”が、母と子の命に直結するのだという事実を、その場で突きつけられました。
私たちは、決して“遠くの問題”としてそれを受け止めることはできませんでした。
“もし自分の家族だったら”“この状況を自分の国が見たらどう思うか”。
そう自問せずにはいられないほど、あまりにも根本的な問題が、目の前に横たわっていたのです。
その後すぐに、私たちはTUMIQUI Smart Kit(ツミキスマートキット)の開発に取りかかりました。
低消費電力で明るく照らすランプと、簡易な通信装置を組み合わせたこのキットは、電力インフラのない診療所でも、安全に出産・診療・記録管理ができる環境をつくることを目指したものでした。
提案を受けたセネガル保健省は、この思いと実用性を評価してくれ、2019年5月には正式にMOUを締結。
その後、10ヵ所の未電化診療所への導入が決定し、現地での運用が始まりました。
現場からは次々と声が届きました。
「夜も照明があるので安心して処置できるようになった」
「新生児に使う小型医療機器が動いた事で救えた命があった」
「通信により、これまで2日かけて都市部に持参していた診療データが、診療所から送れるようになった」
結果的に、休院日を減らすことができ、命を救うための医療の連続性が回復したのです。
⸻
この体験は、私たちにとって事業の始まりであり、いまもすべての判断の基準です。
電気を届けること、通信を届けることは、単なるインフラ整備ではありません。
それは「命の可能性」を届けることに他ならないのです。
⸻
TUMIQUIプロモーションサイトを作成しましたので。青い空、かわいい村落の空撮もどうぞご覧ください。
TUMIQUI Project
また、導入した診療所の先生のインタビューも日本語字幕で収録されています。
この先生はたった一人で7千人の住人の診療を担当されています。
先生へのインタービュー
アフリカ諸国におけるインフラ整備には、ある共通の問題が横たわっています。
それは、「壊れたとき、誰が直すのか?」という問いに、現地で答えられる仕組みがないということです。
国際支援や外部企業によって設置された設備は、その多くがメンテナンスの仕組みや部品供給が途絶えた時点で機能を停止してしまいます。
「導入して終わり」「壊れたら撤去」。それでは意味がありません。
私たちはこの問題に向き合い、持続可能なモデルを現地で構築することにこだわってきました。
TUMIQUI Projectの根幹には、「壊れても終わらせない」ための、“現地で作り・直し・改良する”仕組みづくりがあります。
そのベースとなったのが、私たちが20年以上にわたりフランスで培ってきたITインテグレーションと保守サービスの経験です。
欧州で数々の現場を支えてきた私たちは、「技術の持続性は、人によって支えられる」という原則を知っています。
この原則をセネガルでも実現するため、まず私たちは現地の若者を技術者として育成するプログラムを始めました。
実地研修、メンテナンス講座、そして実際の修理作業。
その結果、2024年には、現地でTUMIQUI Smart Kitの実機修理が可能になったという報告が届きました。
「修理できました」と笑顔で伝えてくれた現地の技術者の声は、私たちにとって何よりも誇らしい成果です。
今後は、さらに一歩進んだ体制を構築していきます。
現在準備を進めているのは、経済特区・サンジャラ市における自社工場の設立です。
この工場では、TUMIQUI Smart Kitの製造・改良・修理を一貫して行い、必要な部材の供給も担います。
さらにこの拠点は、セネガル国内にとどまらず、ECOWAS圏15ヵ国への展開を見据えた地域ハブとなる計画です。
ここから、周辺国への販売、メンテナンス支援、技術移転を広げ、西アフリカの中から技術と産業を育てていくことを目指しています。
⸻
私たちは、“アフリカに持続可能なインフラを”という言葉を、単なる理念で終わらせたくありません。
そのために必要なのは、設備だけでも、技術だけでもなく、現地の人が自ら直し、育て、広げられる仕組みそのものです。
TUMIQUIは、その全体設計までを含めて、社会のインフラをつくっています。
私たちが届けようとしている電気と通信は、単に“電化する”という目的のための手段ではありません。
それは、社会のさまざまな分野に根を張り、新たな可能性を芽吹かせる「基盤」であり、起点」です。
TUMIQUI Projectが未電化地域に導入するのは、照明や電源、通信回線といった基本的なインフラですが、
その影響は、想像をはるかに超えて多分野に広がります。
たとえば、医療。
電気が通ることで、夜間の診察が可能になり、診療機器の利用やワクチン保管が安定します。
加えて、通信環境が整えば、遠隔地にいながら診療記録の報告や情報共有ができ、医療の質そのものが向上します。
教育においては、照明が灯れば夜間の自習や授業が行えるようになり、
通信があれば、都市部と同様に教育コンテンツや電子黒板、学習アプリなどの活用が可能になります。
金融分野にも大きなインパクトがあります。
これまで地方の村々では、銀行支店どころかATMすら存在せず、現金管理に依存していました。
しかし、通信が通れば、モバイルマネーやデジタル決済が導入可能となり、貯蓄・融資・送金といった金融サービスが一気に開かれるのです。
さらに農業分野でも、作物価格の市場情報や気象予報、販路情報の取得が可能となり、スマートアグリや精密農業といった概念が、地方の農村にも応用されはじめています。
そして、これらすべてに共通するのが、「情報にアクセスできることが、力になる」という事実です。
これまで都市に集中していた“恩恵”が、地方にまで広がる。
教育・医療・金融・農業といった社会インフラが、ようやく国全体に届く。
そのためにはまず、電気と通信が届かなければならないのです。
⸻
TUMIQUI Projectは、単に機材を届けるのではなく、社会構造を根本から再設計するための起点として、
この「電力×通信」の仕組みを磨き続けています。
そして私たちは今、これらの応用を、さらに実装レベルで一体化する新しい挑戦へと踏み出そうとしています。
私たちは、TUMIQUI Projectを「電気と通信の事業」としてだけでなく、国家と民間がともに歩む社会実装のモデルとして位置づけています。
それはなぜか。それは、アフリカ、とりわけセネガルのような途上国において、教育や医療といった“公的サービス”の改善は、政府のビジョンと政策に深く結びついているからです。
教育環境のDX化に取り組もうとすれば、カリキュラムや教育端末の調達に関わる教育省の承認が必要になります。
保健サービスの改善に踏み込むのであれば、国が定める診療所の認定制度や医薬品管理ルールに準じなければなりません。
つまり、国家のシステムを無視した革新はあり得ないということです。
そのため私たちは、設立当初から“ビジネスと行政の橋渡し役”として、官との連携を最も重要な軸に据えてきました。
セネガル保健省とのMOU締結も、教育省との共同実証も、すべては信頼関係の積み重ねによって実現したものです。
ただし、そこに求められるのは単なる形式的な挨拶や書類のやり取りではありません。
本当に必要なのは、現場を理解し、ビジョンを共有し、実行力を持って信頼を構築できる民間プレーヤーであること。
TUMIQUIは、小さなスタートアップだからこそ、機動力と柔軟性を武器に、民間での“外交”を担ってきたのです。
私たちは、セネガル政府と日本の民間企業、そして時には日本政府との間に立ち、
技術と資金と政策が交差するポイントを設計し、現地での合意形成を丁寧に積み上げてきました。
これは、一朝一夕でできることではありません。
なぜなら、ビジネスの成果だけでなく、「信頼という無形資産」を投資してきたからこそ、今があるからです。
⸻
TUMIQUIは、自らを「Entrepreneur Diplomatique(民間外交起業家)」と捉えています。
事業を通じて、国家の課題を解決する。民間のスピードで、公共の責任を果たす。
そのような“立場を越えた挑戦”が、今まさにアフリカで必要とされています。
私たちのアプローチは、アフリカの現場に根を張りつつ、
日本の優れた技術と価値観を融合させる、まったく新しい国際連携のスタイルです。
TUMIQUIがセネガルでの実証を本格化させる上で、重要な転機となったのが、関西電力との業務提携でした。
2021年2月、私たちは関西電力グループとパートナーシップを締結。
この提携により、単なる技術提供や機材の供給にとどまらない、本質的なインフラ連携モデルの構築が動き出しました。
関西電力が持つ大規模電力供給のノウハウと、TUMIQUIが培ってきた現地での導入・運用・対話の経験。
この両者が合わさることで、セネガルの未電化村落に対して、より広範で実用的な電気と通信インフラの導入が可能になったのです。
実証対象となったのは、地方の公立学校。
ここでは、日中でも薄暗い教室に生徒たちが集まり、十分な教育機会が得られないまま日々を過ごしていました。
照明がない。充電ができない。生徒に配布する教材が不足している。。そんな現場に、TUMIQUI Smart Kitと太陽光パネルを用いたオフグリッド電源、そして通信設備を導入。
わずか数ヶ月のうちに、教室には光が灯り、インターネットがつながり、教育環境が一変しました。
子どもたちはデジタル教材で学び始め、先生たちは都市部の教育資料にアクセスできるようになり、デジタル教育が地方の村でも始まったのです。
この結果は、セネガル教育省からも高く評価され、次なるステップとしての制度連携や拡張展開に向けた議論が進みました。
また、関西電力との協働を通じて、日本の大手企業がアフリカに本格参入し、スタートアップと共に実証から政策提言にまで関わるという新しい官民連携のかたちが生まれたのです。
⸻
TUMIQUIは、小さな起業体かもしれません。
しかし、本気の想いと地に足のついた行動があれば、大企業とも対等に連携し、社会を動かすことができる。
この実証は、まさにその証明となりました。
そしてこの“共創のかたち”は、次の章で紹介する、セネガル教育省・サンジャラ市とのMOU締結へとつながっていきます。
⸻
*2021年2月関西電力との業務提携を発表しました。
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2021/0222_1j.html
未電化地域における教育環境の改善は、単なる機材導入では解決しません。
本質的な変革には、現地自治体と中央政府、そして教育現場をつなぐ持続可能なモデルの構築が不可欠です。
私たちTUMIQUIは、そのモデルづくりの第一歩として、関西電力との協働による地方実証を進めてきました。
そしてこの成果を礎として、2021年11月、ついにセネガル国民教育省とサンジャラ市、そして私たちTUMIQUIの三者間でMOU(協定)を正式に締結することとなりました。
このMOUは、地方の未電化学校に太陽光発電による電力を供給し、TUMIQUI Smart Kitを活用して教育のデジタル化を実現する包括的な協力体制を定めたものです。
具体的には、
• サンジャラ市が地域の学校を選定し、行政的支援を実施
• 教育省がカリキュラム整合性や全国展開に向けた制度設計をサポート
• TUMIQUIが技術実装・保守・現地人材育成を担当
この三者が、それぞれの役割を担いながら、単なる実証実験ではなく制度としてのスケールアップを見据えた取り組みが本格化したのです。
施工は2021年11月から開始され、2022年3月には完了。
その成果として、光が灯り、インターネットがつながった教室では、子どもたちがタブレットで学び、先生が都市部と同じ教材を扱う姿が見られるようになりました。
導入された学校からは、
「子どもたちが生き生きと授業に参加するようになった」
「村の中に“未来を感じる場所”ができた」
という声が届き、私たち自身もその反響の大きさに驚かされました。
教育省からは、この取り組みを通じて地方教育の均質化が現実味を帯びてきたと高く評価され、
今後の全国展開に向けたモデルとして制度的に組み込む検討が進んでいます。
⸻
このMOUの締結は、TUMIQUIが「技術導入企業」から「国家的共創パートナー」へと進化した瞬間でした。
それは、小さなスタートアップが、大企業、地方行政、そして国家と肩を並べて社会を変えていく。
そんな未来の予兆が、確かに形になった出来事です。
⸻
本実証試験のプレスリリースはこちら。
「シュークルキューブ、セネガル教育省とMOUを締結。
関西電力と連携しGreen ICTを利用した全国の遠隔教育実現に向け実証実験を開始 」
シュークルキューブジャポン社プレスリリース(PR TIMES)
TUMIQUIウェブサイト
関西電力 プレスリリース
2022年6月30日関西電力様より出資を受け、「TUMIQUI Smart Kit」の販売に加え事業者向けに貸出する事業を開始すると共に、教育省と連携し実証し製品化レベルまで作ったシステムを「TUMIQUI Power Digital Solutions」としてソリューション販売しセネガルの教育への導入とさらなる安定した運用を体制を構築していきます。
また、「TUMIQUI Power Digital Solutions」は教育面のみならず、安定した電力と高速通信を必要とする保健分野での診療所、農業。商業施設への展開をおこなっていく計画です。
参考URL:www.tumiqui.com
そして、教育・医療を中心に展開してきたTUMIQUI Projectは、いま次のフェーズへと歩みを進めています。
それは、電気と通信を活かした地域経済インフラの統合モデル──冷蔵・加工・販売・金融の一体化を図る、次世代型社会基盤の構築です。
アフリカの農村では、農産物の多くが収穫後すぐに腐敗・廃棄されてしまう“ポストハーベストロス”が深刻な課題です。
セネガルでは、例えばマンゴーの出荷前廃棄率が30~50%にのぼるとされ、流通インフラと保存技術の不足が、生産者の利益と国全体の外貨収入の障壁になっています。
私たちは、こうした課題を根本から解決するために、電気と通信に支えられた統合型ソリューションを打ち出しました。
2025年、TUMIQUIは以下3つの要素を一体化した実証プロジェクトを、サンジャラ市から開始します。
このモデルは、単なる「農業支援」ではありません。
農家にとっては適正価格での販売が可能になり、地域の若者にとっては新しい雇用が生まれ、自治体にとっては税収と外貨を得る経済循環が始まります。
さらに、これらの取り組みは現在、日本の大手企業4社との連携のもと、共創型の事業として本格始動しています。
TUMIQUIが担うのは、現地実装と戦略設計。大企業が持つ技術・製品・ブランドと融合し、スタートアップ×大企業×アフリカ政府という、かつてない官民連携のかたちが実現しつつあります。
そして2025年8月には、アフリカ開発会議(TICAD 9)での正式発表が予定されており、私たちの構想は「日本とアフリカの共創モデル」として国際社会に向けて発信されることになります。
TUMIQUIはこれからも、“人の暮らしを中心に据えたインフラづくり”を貫きます。
それは命を支える光であり、学びを届ける道であり、働く力を守る冷蔵庫であり、家族をつなぐ通信であり、地域に価値を残す仕組みです。
社会課題を“慈善”ではなく“仕組みで解く”。
そのなかにビジネスとしての収益性とスケーラビリティを同時に成立させること。
それこそが、TUMIQUIの挑戦であり、日本発の新しい国際事業のかたちだと信じています。
さらに、別ページで掲載していますが、セネガルにて多業種での事業共創についてもプロジェクト提案を開始しています。ご興味がありましたらアクセスください。
共創パートナー募集
追っての活動はまたニュースリリースでお知らせをしてまいります。